断熱性能の高い家に住むメリット・デメリット
建築物のエネルギー消費性能を高める法律に2015年に制定された「建築物省エネ法」があります。2021年に地球温暖化対策などへの削減目標強化が決まったことで改正されました。日本におけるエネルギー消費量の約30%が建築物分野と言われており、削減目標達成に向けて法律が整備されたのです。
そして、2022年に建築物省エネ法がさらに改正されたことで、エネルギー消費を抑える家づくりが推進されています。この改正建築物省エネ法の条件を満たすには、断熱性の高い家づくりが必要です。まずは、断熱性能の高い家に住むメリットやデメリットについて紹介します。
参考元:国土交通省|建築物省エネ法のページ参考元:国土交通省|令和4年度改正建築物省エネ法の概要
メリット
断熱性能の高い家に住む主なメリットは以下の通りです。
・生活しやすい
・光熱費の節約につながる
・不動産価値アップにつながる
・金利が安くなる場合がある
断熱性が高い場合、家全体の温度差が小さくなるため、ちょうど良い温度で一年中快適に暮らせるでしょう。急激な部屋の温度差で体調を崩すヒートショックなどのリスクを軽減できます。
また家全体の温度差が小さくなるということは、エアコンや暖房器具の使用を抑えられるため、光熱費節約にもつながるでしょう。
>>参考コラム:山形市での注文住宅の維持費はどのくらい?税金やメンテナンス費用、光熱費などを紹介断熱性が高いと結露やカビなどが起きにくく、家の耐久性がアップします。そのため、同じ築年数の家と比べた場合、断熱性能が高い家のほうが、資産価値が高まる傾向に。
さらに「断熱性能が高い家=質の高い家」と判断されることで、金融機関によっては住宅ローンの金利が安くなる特典を設けているケースもあります。
その他にも室内の壁表面温度が均一であるため、空気の対流による静電気が起きにくくなり、壁にほこりがつきにくくなるというメリットも。ほこりは放置すると黒ずみになることもあるため、断熱性が高まることで掃除の負担軽減につながるケースもあるでしょう。
デメリット
断熱性が高いと部屋ごとの温度が小さいため快適に生活しやすくなりますが、デメリットもあります。ここでは、断熱性が高いことで考えられるデメリットについて見ていきましょう。
・建築費用が高くなる
・空気が乾燥しやすい
断熱性を高める場合、熱が出入りする場所である窓を小さくすることもあります。しかし窓が少ない・小さいとなると開放感が失われ、息苦しく感じるケースもあるでしょう。通常よりも断熱性能の高い窓ガラスを使用することで断熱性を高めることができます。
コストがかかる断熱材なども用意する必要があるため、断熱性能の高い家は建築費用が高くなりやすい傾向です。
>>参考コラム:山形市で注文住宅を建てるなら!ライフプランから考える住宅の資金計画の上手な立て方断熱性を高めると気密性も高まります。そうすると室内の空気がこもってしまうため、高断熱の家では常時換気システムの設置が義務づけられています。結果、空気が乾燥しやすい傾向にあるため、湿度管理が必要です。
家の断熱性はどうやって決まる?
では、家の断熱性はどうやって決まるのでしょうか。主にUA値でチェックでき、UA値によって断熱等性能等級(断熱等級)が分かれています。家の断熱性において知っておきたいZEHやUA値、断熱等性能等級について見ていきましょう。
ZEH(ゼッチ)とは?
日本では、2023年度以降新築の住宅には、ZEH基準の省エネ性能確保を目指しています。ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、高断熱・高気密かつ家庭の消費エネルギーを抑え、自らエネルギーを創出することを目指した家のことです。
参考元:資源エネルギー庁|ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
断熱基準とUA値
ZEHの要件で特に注目されるものが断熱性で、地域区分によって断熱基準が設けられています。日本は地域によって気候が違うため、地域が8つの区分に分けられており、寒い地域ほど基準が厳しくなっている点が特徴です。
断熱基準で利用されるものがUA値。UA値は、屋根や壁などの外皮を通じて家全体の熱がどのくらい逃げるのかを表した数値です。
断熱等性能等級とは?
断熱等性能等級とは住宅の断熱性能を示す指標であり、2022年にはより高い断熱性能を求める等級6や等級7が新設されました。数字が大きいほど断熱性が高いことを表しており、2025年以降の新築住宅には、断熱等性能等級4以上が義務付けられています。
等級の違いは以下の通りです。HEAT20については、のちほど詳しく説明します。